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- 作者: ハビエルガラルダ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1989/06
- メディア: 新書
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有島武郎の「惜しみなく愛は奪う」
あくまで言葉のレベルではあるけれども
両著作のモチーフは以下の点で似通っていると
私は判断した。
それは本当の自分を愛することである。
前者においてはそのまま「本当の自分」が目指され
真正の自己愛はエゴイズムではないと言われる。
後者においては個人(有島武郎)の内奥の「個性」に迫らんとする。
後者の「個性」は「本性」とでも言い換えることが出来ようか。
先ほどの言葉のレベル云々という留保を付した理由は
両著作の書かれた文脈が余りにも異なると考えたからだ。
前者はあるいは「自分探し」の先駆けとでもいった意味を持つのではなかろうか。
比して後者は大正九年の作品ということで、前者とは違った文脈において
書かれたことは言うべくもないだろうが、方向は極端に内省であり、
内容は深い自己省察、自己沈潜である。